ラーメンレビュー(客家式まぜそば) 三妹客家味道(広州)
美味しさ :★★★★☆
値段 :★★★★★
清潔感 :★★★☆
サービス :★★★★
総合評価 :★★★★☆
今回は、このブログのサブテーマとも言える、広東省の梅州市のご当地ラーメンである、腌面Yan1Mian4について再びレビューします。
同じ広東省のご当地ラーメンと言っても色々ありまして、数ある中国のラーメンの中でも私が一押しする「ワンタン麺」は日本でも相当有名な部類に入ると思いますが、この「腌面」(日本語で表記すると「イエンミエン」)は恐らく殆ど知られていない存在だと思います。
このラーメンの本拠地と言える広東省梅州は広東省の北東部にあり、江西省や福建省にも隣接する町です。この町は「客家」の町であり、「腌面」も客家の人々が常食しているソウルフードと言える存在の様です。
「客家」とは少数民族と思われる方もいらっしゃると思いますがそうでは無く漢民族で、西晋の時代に北方遊牧民の匈奴が攻め入った時に当時首都の洛陽などから南方に避難した人々の末裔と言われています。客家に関してはラーメンレビュー(客家式まぜそば) 陳記三及第 棠石路385分店(広州) - 並んだり振り返ったりに少し詳しく記載していますので宜しければご参照ください。
前置きが長くなりましたが、店に参りましょう。今回の店は地下鉄3号線の崗頂駅から徒歩20分とやや行きにくい所にある、三妹客家味道という店です。
駅からかなり歩きましたがどうやら辿り着くと、「客家味道(客家の味)」「客家小食(客家の軽食)」と客家の名前が強調されています。広州市内にはこの様な客家の店がいくつも存在しますが、この店も客家料理特化のレストランの様です。
それでは入ってみましょう!
入り口を入るとすぐに白い階段が見え、近くにいた店員も「二階へどうぞ」とジェスチャーで進めてくれたので、素直に階段を上ります。すると二階にいた店員さんが「こちらへどうぞ」と案内してくれたので、素直に従い案内された席に座ります。中々サービスが良いですね。。
結構立派なメニューが出されたので腌面を探していると、その店員が「お茶はどうしますか?」と聞いてきます。「今日は腌面を食べに来たのでお茶はいりません」と答えると、「この席は必ずお茶を注文頂く必要があります」と。要するにお通しの様なシステムなのですが、たかだか十何元の腌面を食べるのにいちいちお茶代を払っていてはたまらないのでここは席を立つことにしました。
ただ、ひょっとしたらと思い「お茶代はもしかして2階だから?1階だったらお茶を注文しなくていいのですか?」と質問してみたら「そうです」との回答。
そうなんです。1階の店員に勧められるまま2階の席に着きましたが、2階は少し高級なスペースだった様で、今回私が求めていた麺だけを楽しめるスペース、日本でいえば立ち食いそばか街中華の様なスペースは2階ではなく1階にあったのです。
それにようやく気付いた私は、折角席を準備してくれたのに申し訳ない気持ちになりましたが、「不好意思Bu4Hao3Yi4Si1=すみません」と言いながら席を立ち、1階に降りる事にしました。
1階は写真の通りかなりこじんまりとしたスペースですが、清潔感はあり快適な店内でした。早速テーブルにあったメニューをチェックします。
今日も客家ファストフードの王道である「腌面+三及第San1Ji1Di4」のセット16元を迷わず注文しました。スープとセットで16元とは驚きの安さです。三及第とはこれも客家のソウルフードで、クコの葉と豚の3部位=赤身、レバー、腸を煮込みシンプルに塩で味付けしたスープの事で、客家の人々はこれを毎朝の様に飲んでいるとも言われています。
また、三及第とは面白い名称ですが、これは有名な官僚登用試験である科挙の合格者上位3名をこう呼んだことに由来する名前だそうです。三及第の由来などについてはラーメンレビュー(客家式まぜそば) 嘉応面粉厰(広州) - 並んだり振り返ったりでも触れていますので宜しければご覧ください。
ラーメンを待つ間調味料チェックです。
左から、にんにくペースト、酢、辛味ペーストですね。
これまで何件か腌面の店は訪問しましたが、どの店もほぼこの組み合わせでした。このぶれない感じ、私は好きです。
にんにくペーストと辛味ペーストはこんな感じ、これがまた腌面と会うんですよねー。
店内の様子です。女性のおひとり様客などもいらっしゃいますし、シンプルで清潔感の店内です。そこそこ不便な所にはありますが、なかなか人気店の様です。
5分ほどで腌面と三及第がセットで到着しました。まずは記念写真です!
まず、三及第から頂きます。レンゲで豚肉3種をそろい踏みですくってみます。腸と赤身とレバー、これらの大ぶりの肉が良い味を出してくれます!
腌面のアップです。
やや縮れのある中太麺にたれが絡められており、その上に葱と粉砕されたニンニクが乗っているのが分かります。
麺を頂きます。
おおっ、ここの麺はこれまで食べた腌面の中で最も太くてコシがありますね!!
しかもしなやかさも持ち合わせており、後を引く美味さです。この麺は素晴らしい!
再び三及第を頂きます。鮮やかな色をしたクコの葉が美味しそうです。
毎回このスープを飲むと感じるのですが、エグ味のあるクコの葉を上手く調理していると思います。また、この店でもう一つ特筆すべき点は、通常三及第で見られる豚肉とクコの葉から出るアクが非常に少なく、かなり澄んだスープに仕上がっている点です。あれだけアクの強い材料を、ここまで済んだスープにするにはかなり丁寧にアクを取りながら調理したものと思われます。
細かいところですが、店主のこだわりを感じますね。
この腌面と三及第の組み合わせはとても相性が良く、相乗効果でどんどん食べ進んでしまいます。もう残り少なくなってきましたので、腌面恒例のにんにくペーストによる味変を試みます。
うん、この腌面+にんにくペーストを加えた味わい、絶妙に美味しくなります。どの店でもこの調味料が置かれている理由が分かりますよね。
更に辛味ペーストを混ぜて辛さを楽しみつつ、今日も完食です。ご馳走様でした!
今回は、このブログをきっかけに私がハマってしまった腌面をレビュー致しました。
ズバリ、この店の腌面はこれ迄食べた中でも頭一つ抜けるクオリティで、最も美味しいと感じました!
他の店よりも少し太めのシコシコ麺と、丁寧に作られアクが少ない澄んだ三及第のスープは、いずれも他の店には出せない逸品です。
今後これ以上の腌面に出会える事を信じつつ、このクオリティの腌面に初めて出会えた事に感謝の気持ちを込め、久しぶりに星4.5★★★★☆とさせて頂きます。
今回も最後までお読みいただき有難うございます。
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